第140回日商簿記2級を自分がこう解いて80点合格

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【これは約 20 分の記事です】

80点で合格

第140回日商簿記2級検定試験、80点で合格しました。

福井商工会議所の情報を見る限り、今回の合格率は高いみたいです。

第140回簿記検定合格者一覧|福井商工会議所http://www.fcci.or.jp/kentei/gk/boki/140.html

今回の記事は、当日私がどういうプロセスで問題を解いていったかの公開です。ネットではよく見かける情報かもしれませんが、私は会計の素人で本職ではありません。本職でない人間の情報、ということでお役に立てるかもしれません。

第140回日商簿記2級の問題用紙が手元にないとなにを言っているのかわからないかもしれませんが、手元にある方はそれを見て、ない方は過去問が出版されたらそちらをご購入いただければ幸いです。

なお、私の成績はこうでした。

問1 問2 問3 問4 問5
12 16 12 20 20

時間配分

解答に際して、まず、時間配分を考えます。

試験開始~10分 問題の全体図と答案用紙の構成の確認
出題者の意図や性格を推測
そこから解答順序を決めていく
10分~105分 解答
105分~終了 最終見直し

最初の10分の使い方

まず、答案用紙をみます。問1はほぼ確実に仕訳問題なので見ても意味はないですが、それ以外の問題は問題用紙を見なくても、答案用紙を見るだけで

問2 伝票と仕訳日計表の推定問題
問3 多分精算表問題で本社支店会計ではない。また、当期の損益を出す問題
問4 仕訳問題あり
問5 等級製品の原価計算

ということがわかります。これだけでもなにを考えるべきかという範囲が狭められるので楽になります。

次に問題用紙を見ます。これで問題内容を確認し、出題者の意図を読み取ります。そのうえで、自分の得手不得手に応じて解答順序と問題にかけるおおよその時間配分を考えます。

出題者の意図は2通りある

私は会計については素人です。ただ、以下の様な資格を取得しており、それなりに試験慣れしています。

  • TOEIC 735点
  • ITパスポート
  • 基本情報技術者
  • 高度情報技術者(ネットワークスペシャリスト)
  • Cisco Certified Network Associate(期限切れで失効)
  • Microsoft Certified Professional
  • Webクリエイター
  • 簿記3級

きちんと研究したことはないのですが、出題者の意図は2通りに分けられるようです。

  • 受験者間の差をつけることを重視する(差別化重視)
  • 受験者が最低基準を満たしているかを重視する(最低基準重視)

この2つにはそれぞれこういう傾向があります。

出題者の意図2タイプ

出題者の意図2タイプ【展開】
出題者の意図 差別化重視 最低基準重視
受験者に期待すること 基本的なことをきちんと応用して注意深く解答してほしい ヤマカケなどせず、必要な知識をきちんと取得してほしい
ひっかけ問題 盛り込む 避ける
周辺問題 避ける 基本問題と併用する
過去問とのスタンス 過去問と似て非なる問題を作成 過去問と重複しない問題を作成。ただし、超基本問題はこの限りではない
設問の配置 最初の方にあからさまに引っ掛けと分かる設問を出して受験者の心理的混乱を誘う 最後の方に前の問題のヒントになる設問を出して前の設問への回答の見直しを促す
パリティとなるヒント 用意しない 用意するが、それは問題の最後の方になる傾向がある
フェイクとなる情報 意図的に入れる 少ない
解答の数値 やや複雑 単純
連続問題 一つ間違えると後も間違え、影響が大きい 一つの間違いが出来るだけ影響を及ぼさないようにする
奇門難問と指摘された時の返答 「問題をよく読めば解けた」
「それはケアレスミス」
「その代わり○○という配慮をした」
「ここは勉強しておくべき箇所」

第140回日商簿記2級の場合は、おそらく以下の表で書いているような感じだろうと、試験中は推測しました。検証は後日発表される講評を見ればできると思います。もっとも、このページを見て講評の表現を変えてしまう、ということも考えられますが、さすがにそこまではなさらないないでしょう。意図が予想できたとしても問題と解答が予想できるわけではありませんし、私のサイトはそこまで有名なサイトではありません。

第140回日商簿記2級の出題者の意図予想

第140回日商簿記2級の出題者の意図予想【展開】
問1(仕訳) 差別化重視
問2(伝票と仕訳日計表) 最低基準重視(基本問題)
問3(決算と損益計算書) 差別化重視
問4(標準原価計算) 最低基準重視(周辺問題)
問5(等級別総合原価計算) 最低基準重視(周辺問題)

商業簿記(特に第3問)が差別化重視で、工業簿記が最低基準重視になる傾向がありますが、必ずしもそうではありません。例えば、一つ前の日商簿記2級の第139回の第3問は「最低基準重視」です。なぜそう言えるかというと、

  • 営業利益・経常利益・当期純利益を出すために加算減算すべき勘定科目を知っていなければならず、過去問の傾向からしてこれは新しく、かつ受験者的には周辺知識(実務上は周辺ではありませんが、簿記試験的にはたいてい解答用紙にすでに書かれていることなので、受験者にとっては周辺知識です)
  • 問題の最後で「税引前当期純利益の25%に当たる¥500,000」というパリティとなるヒントを出している。これの意味がわかれば、途中の解答がわからなくてもここだけで当期純利益が出せ、途中が間違っている場合には気づく
  • 講評で
    代わりに「問題自体はオーソドックスなうえ、出題論点を厳選しま
    した」と代替の配慮について説明している
    第139回簿記検定試験2級 出題の意図・総評
    http://www.kentei.ne.jp/wp/wp-content/uploads/2015/04/139-02-kouhyou.pdf

参考までに、第139回日商簿記2級の出題者の意図は、おそらくこうです。

第139回日商簿記2級の出題者の意図予想

第139回日商簿記2級の出題者の意図予想【展開】
問1(仕訳) 差別化重視
問2(固定資産減価償却) 最低基準重視(基本問題)
問3(決算と貸借対照表) 最低基準重視(周辺問題)
問4(部門別原価計算) 差別化重視
問5(損益分岐点) 最低基準重視(基本問題)
この意図がわかると、問題を解く際に何処に力を入れればいいかがわかります。さすがに解答はわかりませんが、最低基準重視であればヒントがないかを探すという戦略が取れますし、差別化重視であれば、ヒントを探しても無駄という割り切りが出来ます。

解答順序は 1→4→2→4→5→1→3

答案用紙、問題用紙の内容を確認し、解答順序を決めました

1→4→2→4→5→1→3

です。なぜ問1と問4を二巡させているかですが、

  • 一巡目で勘定科目だけを埋め、二巡目で金額を埋める

ためです。また、私は伝票と仕訳日計表を得意としていたので、そちらを先にやりました。

仕訳で勘定科目だけを埋める

まず、仕訳で勘定科目だけ埋めました。その時点での回答はこうです。

問1【展開】
借方 貸方
勘定科目 金額 勘定科目 金額
1  (※間違えです)
当座預金
立替金
創立費
  (※間違えです)
資本金
資本準備金
立替金
現金
2  本店 当座預金
3 売上割戻
売上割戻引当金
現金
売掛金
4 満期保有目的債権
有価証券利息
当座預金
5 減価償却費 車両減価償却累計額
問4【展開】
借方 貸方
勘定科目 金額 勘定科目 金額
1  材料  買掛金
2 仕掛品 材料
3  (※薄く書きます)
価格差異
数量差異
材料
問1の1を間違えていることから、私が会計の素人ということがよくわかると思いますが、それでもこれだけ埋めることが出来ます。もし、科目と金額を同時に書いてしまうと、慌ててしまい、おそらく、問1の4の借方で「有価証券利息」のところを「社債利息」、問4の3の貸方で「材料」のところを「仕掛品」とうっかり書いた可能性があります。

なお、問4の3の差異は借方か貸方かわからないので薄く書きますが、材料が貸方なのは確定なのでそこは普通の濃さで書きます。

伝票と仕訳日計表

次は問2の伝票と仕訳日計表の推定問題ですが、私はこの問題が得意なので、これはラッキーだったと思います。

なので、出題者の意図を考える必要なく問題を解いていったのですが、なぜ16点と点数が少し足りないのか、未だにわかりません。

いろいろなところの解答速報を見て、覚えている限りで数値およびその数値に至るまでの過程を思い出したのですが、桁違いなど書き間違えとかでない限り、理由が思いつかない状態です。とはいえ、もしかしたら書き間違えがあるかもと想定はしていたので、そこまで致命的ではありません。

シングル・プランによる標準原価計算

次は第4問の二巡目です。ここは「シングル・プラン」に注意すればいいかなと感じました。それは仕訳で勘定科目を書く時に注意しているので後は数値に注意するだけです。それほど問題なく解けました。

等級別総合原価計算で少し引っかかる

次の第5問、ここで私は引っかかります。

等級別総合原価計算で、完成品におけるA,B,Cの各個数は書かれているのですが、月初の仕掛品について、製品ごとの個数が書かれていません。

その時点では、

  • 仕掛品でA,B,C製品ごとの個数がわからないと解けないのでは?

と間違えて考えてしまい、数分ペンと電卓の動きが止まりました。時計を見て、「ここでひっかかっていたらほかも落としてしまう」と割りきって一旦問5に見切りをつけました。

仕訳の見直しで、戦略を誤る

問5に見切りをつけた後、問1の二巡目を解きます。

勘定科目名は一巡目で記入済みなので、それを埋めていけばいいわけですが、問1の1の立替金勘定はその時も引っかかります。

立替金勘定は会社の立場から見た立替金なので、発起人の立替は違うような気がしたのですが、その時点では問5のほうが気になってしまい、確証が持てるほど深く考えはしませんでした。

仕方なのでこれは試験残り15分で考えなおそうと思いましたが、それが失敗と関わってきます。

出題者の意図から解答の出し方を推測

問1を解いて、改めて問5に戻りました。この問題は等級別総合原価計算という周辺問題による最低基準重視の問題だろうと考えたので、何処かにヒントがないかを探したのですが、見つかりません。

ただ、問題用紙での生産データと原価データの書き方があまりにシンプルでした。最低限これだけあれば、等級別総合原価計算ではない総合原価計算は普通に出せます。

  • もしかしたら、月初仕掛品で各製品の内訳を知る必要はないのではないか

フェイクとなる情報が少ないのは最低基準重視タイプの特徴です。なので、等級別、ということは忘れ、先入先出法で、仕損費を完成品負担という普通の計算をしたところ、完成品全体での原価は、9で割れる数値で出てきました。

A,B,Cの1個あたりの重量比は

1:2:4

個数が

4000,1500,500

なので、9で割れる数字が出れば正解の可能性が高いと考えました。

ちなみにこの考え、出題者が差別化重視タイプだった場合は危険です。このタイプの場合、先入れ先出し法だけでなく、平均法でも9で割れる数値になるようにするなど問題を細工する可能性が高いです。なので9で割れるから解答とは言い切れないのですが、最低基準重視タイプの場合、解答間違いに気づく配慮をして問題を作成してくださることが多いので、確率的に正解だろうと考えました。この時点で少し時間オーバーしていたので、確率に賭けたほうが得点が上がると判断しました。

最後は問3です。精算表を整理して損益計算書を埋めていく問題ですが、ここで私特有の課題が待ち構えます。

うわ、不渡の仕訳が必要・・・

実は、私は不渡の仕訳が苦手で、正解率が異常に低い、過去問では全問不正解という

ある意味普通の人には真似出来ない成績

を修めています。「え?どこが難しいの?」という声が聞こえてきそうですが、何故か正解を出せないのです。

これは部分点狙いだな

と全問正解は諦めました。

不渡の仕訳が正確に出来ないと、貸倒損失と貸倒引当金繰入が正確に出せない、結果当期純利益が出せません。第139回のようなパリティになるヒントがないかと探しましたがありません。「これは引っ掛けたっぷりの差別化重視タイプ」ということはわかっているので、どこが落とし穴か分かればそれを避ければ正解率が上がります。もちろん、いくら落とし穴がわかっても避け方がわからなければどうしようもなく、私にとってはそれが不渡の問題なのですが、ほかは何とかなりそうなので、何処で落とそうとしているかを考えながら答案用紙を埋めていきました。

固定資産の減価償却は今回ボーナス問題

問3で逆落とし穴、つまりトランポリンのボーナス問題は固定資産の減価償却です。

建物については4000円、備品については3500を4月から2月まで計上して決算月も同様の処理を行う

一見すると、期首の減価償却累計額を求め直す必要があるように見えますが、この問題、そんなことをする必要はありません。

おそらくこの問題の作成者は第138回の過去問をもとに改良を加えたつもりなのでしょう。差別化重視タイプがよく行う問題作成の方法です。ただ、第138回と第140回では決定的な違いがあります。

  • 第138回・・・貸借対照表
  • 第140回・・・損益計算書

貸借対照表の場合、今までの減価償却累計額も計算に含める必要があり多少手間がかかるのですが、損益計算書の場合には、当期の費用だけ計算すればいいので

建物については4000円、備品については3500を4月から2月まで計上して決算月も同様の処理を行う

という文章だけで

(4000+3500)*12 =90000

と、減価償却費が簡単に答えが出せてしまいます。

本当は毎月計上する値と年で計上する値の整合性がとれているかを確認すべきですが、そこで整合性が取れないと、毎月意味が無い計算業務を経理担当者にさせていることになり、より実務に近い簿記という商工会議所が目指していることと反します。そういう設問を作ることは可能でしょうが、それは受験のための設問になってしまいます。そう考えると、減価償却費はこの計算方法で出しても問題無いということになります。これだけで計算時間が2,3分は短縮できます。

ということで、問3の解答時間は短縮できるのですが、これが私にとっては災いになります。

最後の15分は欲を出さず見直しと割り切るべきだった

時計を見ると後15分、ここからは最終確認を行うべきなのですが、時間短縮のお陰で

もしかしたら全回答埋められるのでは?埋めても最低5分は余る

という欲が発生してしまいます。不渡が不正解なのはほぼ確実なので、仮にここで全て答えても満点にはなりません。点数が上がってもせいぜい2点なので、ここでは配点が4点以上である問1,問4,問5を見直すべきなのですが、全部埋めたいという不要な欲求に負けてしまいました。

問3、確かに全部埋めました。そこで残り5分。予定通りです。疑問に思っていた問1の1の見直しに時間を入れようと答案用紙を見たのですが、その時、問2の答案用紙に空欄があることに気が付きました。

これも無視すべきでした。問2の空欄を埋めてもせいぜい2点です。4点の問1の1のほうを優先させるべきだったのです。

結果、問1を見直すことなく、時間終了。結果を見る限り問1は8点減点になっているので、もう一問何かを間違えています。最後の15分を確認に当てていれば、2点減点でも8点加点で点数が上がっていたかもしれません。

結果合格なので、素人としてはよしとしよう

と、試験の解き方には失敗だと後悔するところもあるのですが、合格はしているので、よしとします。これが会計素人の合格者の解き方の一例です。ネット上の合格者からの情報は殆どプロのものなので、素人の解き方はもしかしたら参考になるかもしれない、と思っています。書いたとおり、解き方で失敗している箇所はありますが、そういう失敗も含めて参考になると幸いです。

参考までに、私が受験勉強で使用したテキスト紹介です。

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