ギネス記録挑戦失敗:藤島高校同窓会は何故おにぎり100個作るところを102個作ってしまったか、をユーザインタフェース設計の観点から考察

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【これは約 8 分の記事です】

先日、藤島高校同窓会「明新会」の総会があったのですが、そこで、同級生から「後輩から頼まれ事があるので手伝ってほしい」という話を受け、そのお手伝いに行きました。

そのお手伝いとは、

ギネス記録に挑戦中の監視員

で、記録ですが、

ギネス記録チャレンジ失敗

です。失敗の分析はセキュリティ考察において非常に貴重なので、後輩に「この件分析して掲載していいかな」と確認したところ、承諾いただいたので、今回ブログに書かせていただきます。

ギネスチャレンジ失敗分析

監視員の経緯

今年、藤島高校同窓会を幹事として切り盛りしていたのは、平成3年卒の卒業生。私は既に幹事を終えた年代なので、気楽に同窓会に行こうと思っていたのですが、そこへ、私の代の同級生からの連絡が。

「後輩達のおにぎり握り記録チャレンジの監視を手伝ってもらえないか」

聞くところによると、ギネスチャレンジとしておにぎりを100個作るというのに挑戦するのだが、そのときに監視員の立会が必要で、監視員は総会幹事当事者では出来ない、とのこと。

ということで、ギネス記録の監視員をさせていただくことになりました。

どんな記録に挑戦するの?

で、チャレンジの日が、2018年5月26日。福井フェニックスプラザ。

どんな記録に挑戦するか、ですが、

おにぎり100個早握り

ということでした。このギネス記録、新潟のアイドルグループNGT48が、2018年1月に、4分39秒62というタイムを叩き出しているそうで、それを抜けばギネス認定される、ということです。

  • ご飯は福井のブランド米「いちほまれ」
  • 具材は小梅

を使います。

ルールとしては

  • 形は三角で、具材はご飯からはみ出てはいけない
  • ご飯と具材は別々に指定の場所にあるものから取ってくる
  • おにぎりの重さは1個100g以上

で、流れとしては、

  1. ギネス認定員がGoの合図を出してからスタート
  2. 作業チームは25人。流れ作業で作っていく
  3. 出来上がったおにぎりを指定の板の上に並べる
  4. 並べ終わった時点で、チームの多分リーダーが「終了です」の宣言をし、その時点のタイムを取る
  5. その後、作ったおにぎりがルールに合致しているかを確認

となります。

お米を盛る人、計量する人、具をいれて握る人、という感じで役割分担していたので、一人4個という分担ではありません。この分担は適切だったと思います。

おにぎりは、最終的にこの板の上に並べていきます。

おにぎりが乗っている板

写真が見にくいのはご了承を。この写真はいただきものですが、撮影した方や私も含めて、この時点ではこのおにぎり置き場が要因で失格になるとは思っていません。なので、このおにぎり置き場をきちんとは写真に取らなかったのです。たまたま写っていた写真を拡大加工したものです。

ギネスの監視員って何をするの?

ギネスの監視員は何をするか、ですが、今回は以下のことを確認しました。

  • フライングで作っていないか
  • おにぎりを正しく手で握っているか。道具を使うと失格
  • おにぎりの具を入れ忘れていないか

また、もしルール違反があっても

挑戦中はルール違反を指摘することは出来ない

のです。これをやってしまうと手伝ったことになってしまうので、本当に見るだけです。口や手は出せません。

そして、挑戦作業が終わったら、ギネス認定員の方に、違反がなかったことを報告します。

なので、途中で「失敗」ということがわかったとしても、言うことは出来ません。

今回はギネス挑戦失敗

最終的には、おにぎりはこう並べられました。並べられたあと、完了の宣言をチームリーダーの方が行います。所要時間

3分51秒13

並べられたおにぎり

これ、タイム的には今までのギネス記録を更新しています。

ところが、これを最終チェックすると、失格の要因が混じっていました。注目は、以下の写真の緑の楕円で囲ったところ。

個数が超えている

これ、2個多いのです。その2個は「ゴール」と書かれた部分に置かれていました。

おにぎり置き場のゴール部分

監視員として立ち会っていましたが、ルール違反はありませんでした。なので、いけるかなと思っていたのですが、個数が100個ではない、ということで、今回は失敗になりました。

ユーザインタフェース設計の失敗

ギネス記録は、成功ばかりが注目されますが、失敗の記録は非常に貴重なのです。今回、なぜ失敗してしまったか。それは

ユーザインタフェース設計の失敗

です。もう一度、おにぎり置き場の写真を見てみましょう。

「ゴール」というマスがあり、そこと他のマスとの違いが明瞭ではないのです。

一行13マスというマスの作り方も問題でした。

100を13で割ることは出来ないので、「ゴールのマスを作る」余地を作ってしまったのです。また、1行13個というのも、数えにくく、大きめの数字です。

  • 間違えた場所におにぎりを置くのを防げなかった
  • おにぎりだけで長方形にならなかったので、気づきにくかった
  • 1辺が13個と多くて半端なため数えにくかった

これが失敗の原因です。もちろん、最終チェックとかそういうプロセスにも原因はあったかも知れませんが、この配置がわかりやすいものになっていれば、チェックも問題なく行われたでしょう。

これは、ユーザインタフェース設計の失敗、と言っていいでしょう。利用者が誤操作しにくいユーザインタフェース設計は、私の専門のセキュリティの分野でも、極めて重要な課題です。人間のチェックミスやチェックの負荷を軽減する、こういう事を考えたデザインにする必要があるのです。

どういうおにぎり置き場にすればよいか

ここは、「ギネス側からおにぎり置き場の仕様についての指定がない」前提でのお話です。

どのようなおにぎり置き場にすればよかったか。こういう考えでおにぎり置き場を作ると良いと思います。

  • 間違っておにぎりを置く場所を作らない
  • 個数間違いのチェックが容易にできる
  • 作業単位を小分けにできる

間違って置く場所ができてしまったのは「行列の個数が100の約数ではなかった」からです。つまり、1行13個という設計がミスのもと。

また、個数チェックの容易さを考えると、1行13個は半端で数えにくく、多いです。10個以下の2もしくは5の倍数にしたほうがカウントしやすくなります。

また、今回おにぎり置き場は1つの箱でした。これをもし2つの箱に分けることができれば、確認は1箱単位でできるので確認しやすく、作業分担もしやすくなります。

あくまで私の考えですが、

5*5のおにぎり置き場を4つ作る

もしくは

5*4のおにぎり置き場を5つ作る

と、上記3つの条件を満たすので、今回のようなミスは減らせる、してもすぐに気づくと思います。

失敗と向き合う

今回、記事を書くに当たり、「失敗の分析だから後輩は嫌がるんじゃないか」と思い、ブログに書いてよいか代表の方に確認したのですが、その方は快諾してくださいました。

ギネス成功も素晴らしいかも知れませんが、失敗と向き合える姿勢も素晴らしいことです。生命や財産に関わる問題ではないことを差し引いても、こういう姿勢は必要です。

福井新聞や福井テレビでは、このチャレンジをこういうふうに記事にしてくれていました。

おにぎりギネス記録、作りすぎ失敗|福井新聞
http://www.fukuishimbun.co.jp/articles/-/335134

「いちほまれ」おにぎり早握り ギネス挑戦も意外な結末|福井テレビ
http://www.fukui-tv.co.jp/?post_type=fukui_news&p=104587

「勢い余って」多く作っても時間を短縮して作ってしまう、優れた後輩達です。

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